【ブログ】 名大2024を解いて見えた“本質”──思考力で勝負する入試の現実
2025年7月14日 10:36 更新
7月中旬、最新の出題傾向を正確に把握するために、名古屋大学の2024年度入試(英語・数学)の過去問を実際に解いてみました。
単なる解説レベルの理解ではなく、自ら“受験生と同じ土俵”に立って問題に向き合うことでしか見えてこない本質があります。
今回はその体験から得た気づきと今後の指導への示唆をまとめます。
◆ 名大が問うのは「知識」ではなく「思考の粘度」
まず解いてみて強く感じたのは、「名大は知識量そのものではなく、知識を使ってどこまで深く思考を展開できるか」を問う大学だということです。
英語では、読解そのものの難度は極端に高くないものの、設問は一貫して論理性・表現力・背景理解を求めてきます。
与えられた情報を整理し、自分の言葉で構造的に再構成できなければ、得点にはつながりません。
単なる“読めた”で終わらせず、“どう考え、どう表現するか”という解答までのプロセス全体が評価の対象になります。
数学も同様に、解法暗記の延長線上では太刀打ちできない問題が中心です。
必要な知識は標準的であっても、それをどのように組み合わせ、どの道筋で結論へ至るかという思考の構成力が試されます。
ひとつの方針に固執すると解けず、複数のアプローチを頭の中で同時に走らせる“思考の柔軟性”が求められます。
◆ 特に難しかったポイント:見えない「思考の出発点」
英語・数学ともに、最大の壁は「どこから考え始めるか」という出発点でした。
英語では、設問要求を正確に読み取り、文章全体の論理構造を踏まえて答案を再構成する力が問われます。
いわば“解答の骨格”を自力で組み立てる作業であり、ここが曖昧だと減点は避けられません。
数学では、問題文に含まれる情報のうち、どれが「解法の突破口」になるのかを見抜く目が必要です。
与えられた条件を“ただ使う”のではなく、“戦略的に使う”という発想が、合否を分けるといっても過言ではありません。
◆ 演習を通じて見えた自分の課題
今回の演習で明確になったのは、「思考スピードと精度の同時達成」が依然として課題だという点です。
知識や思考力があっても、それを制限時間内にアウトプットへと昇華させる訓練が足りないと感じました。これは受験生にも共通する弱点であり、特に記述答案では「速く考える力」と「論理を正確に書く力」の両立が必須です。
また、問題演習の質そのものも問われていると痛感しました。単なる過去問演習ではなく、「なぜこのアプローチが有効なのか」「別解の可能性はないか」といった“思考のメタ認知”まで掘り下げる必要があります。
◆ 今後の指導と演習方針
今回の経験を踏まえ、GIFTEDでは以下の点を今後の指導方針としてさらに強化していきます:
【記述力・表現力の精度向上】
設問要求を正確に捉え、自らの言葉で再構成するトレーニングを重視する。
【戦略的思考演習の導入】
「複数の解法方針を考える」「別解を比較する」といった“思考の幅”を広げる演習を増やす。
【制限時間下での答案作成力の鍛錬】
実戦形式での過去問演習を通じて、スピードと精度の両立を習慣化する。
過去問は単なる実力測定の道具ではなく、「本質的な思考力」を可視化し、次のステージへ進むための最強の教材です。
だからこそ、1問1問を“解き切る”のではなく、“解きながら自分を鍛える”意識が欠かせません。
◆ 終わりに:受験の本質は「解く力」ではなく「考え抜く力」
名古屋大学の過去問演習は、私にとっても改めて「受験とは知識量ではなく、思考の深さと質で勝負が決まる世界」だという原点を再認識する機会となりました。
そして、それはGIFTEDが一貫して目指してきた「自ら考え、突破する力を育てる指導」と完全に重なります。
今後も、最新の入試を現場目線で分析しながら、“使える知識”“戦える思考力”を生徒たちとともに磨き続けていきたいと思います。